2012年6月23日土曜日

ヘッジファンドは常に市場に勝てるか?=Vanguard調査

大手ミューチュアルファンドVanguard社が先日、次の二点に関する研究を行いました。
Q1. ヘッジファンドは市場のベンチマークを常にしのぐことができるか?
Q2.ヘッジファンドは株式と債券と比較して、分散を行う上で優良な“オルタナティブ”となりえるか?

Vanguardが出した答えはどちらとも“No”でした。

この研究は「寄せ集め:金融危機以前と以後のヘッジファンドカテゴリーのパフォーマンス」と題し、新興国市場、株式マーケットニュートラル、マネージドフューチャーズなどをはじめとする9つのカテゴリーに渡って、平均的なヘッジファンドのリターンを2つの期間で調査しました。1つ目はS&P 500が41%以上下落した2007年11月から2009年2月まで、2つ目は株式市場が回復した2009年3月から2011年12月までです。

この調査の中ではヘッジファンドのリターンを一般的なポートフォリオの割合である60%株式、40%債券というポートフォリオのリターンと比較しています(S&P 500とバークレイのAggregate Bond indicesに基づく)。

多くのヘッジファンドカテゴリーは下げ相場で多くの米株式と債券のベンチマークをしのぎましたが、市場の回復を享受したヘッジファンドは一つもありませんでした。つまり、一つ目の期間ではヘッジファンドはよい成績を出しましたが、2つ目の期間ではアンダーパフォーマンスとなりました。

また、両方の時機において多くのヘッジファンドカテゴリーが株式60%、債券40%のポートフォリオに対して非常に高い相関性を持つことがわかり、分散やポートフォリオのリスク軽減という目的においてはこういったヘッジファンドを用いることはあまり有益でないことを示しています。

さらに、この調査ではヘッジファンドのパフォーマンスの平均値を出す上でのいくつかの問題点も指摘しています。サバイバーシップ・バイアス(パフォーマンスが悪いために、データ収集途中で廃止または消えてしまうヘッジファンドが存在すること)により、実際よりもよい成績が表されてしまうのです。これは株式公開ミューチュアルファンドでも起こり得る問題ですが、ヘッジファンドでは特に透明性の欠如や緩やかな規制が正確な数値測定を難しくしています。

今ではヘッジファンドに対するオルタナティブとして株式公開ミューチュアル・ファンドや上場投資信託に投資することができます。これらは実質的には研究の対象となったヘッジファンドと同じカテゴリーです。

Vanguardによる研究は少なくとも潜在的な投資家に、ヘッジファンドが本当にその限られた流動性や高いコスト、低い透明性を補って余りあるほどの収益を出せるのかどうかを考える機会を与えることになりました。



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