2012年9月6日木曜日

米国株、ダウ反落54ドル安、ISM指数悪化でナスダック続伸

3連休明け4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、8月31日に比べ54ドル90セント(0.4%)安の1万3035ドル94セントで終えた。米製造業の景況感を示す指標の悪化を受け、米景気の先行き懸念が広がった。収益が景気の影響を受けやすい素材株や機械株を中心に売られた。

6日の欧州中央銀行(ECB)理事会や7日発表の8月米雇用統計を見極めたいとして市場には様子見姿勢も強かった。
米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した8月の製造業景況感指数が市場予想に反して悪化し、2009年7月以来3年1カ月ぶりの低水準となった。7月の米建設支出も予想に反して悪化した。これらの発表を手掛かりにダウ平均は一時110ドルあまり下げた。

JPモルガン・チェースがまとめた8月の世界の製造業購買担当者景気指数(PMI)も3年2カ月ぶりの水準に落ち込むなど、米国だけでなく世界の景気減速も重荷となった。

一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、前週末比8.10ポイント(0.3%)高の3075.06で終えた。12日に新製品発表会を開くと伝わったアップルがスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の新型機を発表するとの思惑から上昇。指数を押し上げた。

業種別S&P500種株価指数は全10業種のうち「素材」「資本財・サービス」など5種が下落。一方、「電気通信サービス」「生活必需品」などが上昇した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約6億4000万株(速報値)、ナスダック市場は約14億7000万株(同)だった。

世界のPMI悪化を嫌気し建設機械の米キャタピラーの下落率がダウ平均構成銘柄で最大となった。缶スープのキャンベル・スープは小幅安。5~7月期決算は増益となり買われる場面もあったが、過去1年(52週)の高値を更新した後は利益確定目的の売りに押された。

交流サイト(SNS)最大手のフェイスブックは上場来安値を連日で更新。主幹事証券のモルガン・スタンレーとJPモルガン証券が株価見通しを相次いで引き下げた。8月の新車販売台数が市場予想以上に増えたものの自動車のゼネラル・モーターズ(GM)は下落。

一方、フォード・モーターは上昇。好調な8月の新車販売好感した買いが入った。四半期決算を発表した豚肉生産会社のスミスフィールド・フーズは買われた。コスト高を抑制できるとの市場の見方に加え、自社株買いの継続を好感した買いが優勢になった。


米アップルが12日にイベント、画面大きい「iPhone5」発表か

米アップルは4日、9月12日にサンフランシスコで開催するイベントの招待状を送付した。

アップルは今回のイベントで、年末商戦に向け、新型「iPhone(アイフォーン)5」を発表すると広く予想されており、招待状ではこうした観測を裏付けるかのように、数字の「5」のような影が映し出されている。

イベントはタブレット型パソコン「iPad(アイパッド)」などの発表会場にもなったサンフランシスコのヤーバブエナ芸術センターで開催される。

関係筋によると、新型iPhoneでは、初代機種の発売当初から一貫して3.5インチに据えかれていた画面サイズが4インチに拡大される可能性がある。

グーグルの携帯電話向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した韓国サムスン電子のスマートフォン(多機能携帯電話)は、iPhoneより画面が大きく、これに対抗する狙いがあるとみられている。

今回のイベントをめぐっては、iPadの小型版についても詳細を明らかにするとの観測も出ていたが、招待状にはアイパッドに関する記述はなかった。

スマホやタブレット端末の分野では、9月に新製品発表が相次ぐ。ノキアは5日、米マイクロソフトの最新モバイルOS「ウィンドウズフォン8」を搭載したスマホ「ルミア」新シリーズを発表する。グーグル傘下となった米モトローラも同じ日に新製品を発表するほか、翌6日には米アマゾンがタブレット端末「キンドル・ファイア」の新機種を発表するとみられている。

アップル株が特許勝訴で最高値、アンドロイド勢との明暗鮮明に

27日午前の米国株式市場で、米アップル株価が過去最高値を更新した。米カリフォルニア州連邦地裁で争われていた韓国サムスン電子との特許訴訟で、アップルが勝利したことが好感されている。

今回の勝訴により、アップルは新型機「iPhone(アイフォーン)5」の発売を前に、モバイル市場で一段とリードを広げるとの見方が出ている。

グーグルの携帯電話向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したモバイル機器は世界全体の3分の2を占めており、これらアンドロイド勢がデザインの変更を余儀なくされれば、競争が激化するモバイル市場の勢力図が塗り変わる可能性があるためだ。

アップルは一時、過去最高となる680.87ドルまで買われた。

一方、グーグルは1.3%安。同日のソウル株式市場で、サムスン電子は7.5%急落し、時価総額およそ120億ドルが1日にして吹き飛んだ。

カナコード・ジェニュイティのアナリストは「サムスン製品の米国販売が差し止めされれば、アップルの米市場でのシェア拡大につながる一方、今回の判断を受けて、サムスンはアップルの特許を侵害しないよう取り組む中で、目先の製品発表が遅れる公算が大きい」との見方を示した。

グーグルがタブレット端末「ネクサス7」を発売してハード分野に参入したほか、マイクロソフトもタブレット「サーフェス」や携帯端末向け次世代OS「ウィンドウズ8」の投入でアップルを追撃する構えを見せるなど、モバイル市場の競争は熾烈さを増している。

今回のアップル勝利は、競争が激化する中で潮目の変化となる可能性があり、この日の株式市場では、アップル勝訴が追い風となった銘柄もある。

カナダ・トロント市場のリサーチ・イン・モーション(RIM)株は3.1%高。欧州市場ではフィンランドのノキアも買われた。

マイクロソフトも0.8%高となっている。

2012年9月5日水曜日

NY当局、大手買収ファンドの税務戦略を調査

米ニューヨーク・タイムズ紙によれば、大手買収ファンド各社が米国で数億ドルにのぼる税金の過少納付につながった可能性のある税務戦略について、当局の調査を受けている。

・政治的な動き

ロムニー氏がCEOを務めたベインキャピタルも当局の調査を受けている。

関係者によれば、民主党系のシュナイダーマン・ニューヨーク州司法長官が進めるこの調査の対象には、米買収ファンドのベインキャピタルやコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、アポロ・グローバル・マネジメントが含まれる。ベインは米大統領選で共和党候補に指名されたロムニー前マサチューセッツ州知事が最高経営責任者(CEO)を務めていた。

ある買収ファンド幹部は「これは明らかに政治的な動きだ。予想はされていたがむしろ、もっと早く実施されなかったことに驚く。ベインとロムニー氏が数千万ドルを節税していたとすれば、調査の対象になるのは当然だ」と語った。

今回の調査は大統領選のさなかに明らかになった。再選を目指すオバマ陣営はロムニー氏がベインのCEOであった点や、在職中の同氏への課税率を攻撃している。

民主党はロムニー氏が数年分の確定申告書を公表していないことを非難し、ベイン経営時の雇用創出の実績にも疑問を呈している。一方、ロムニー陣営は景気低迷の好転に必要な経験がある証しとして、ベインでの実績をアピールしている。

・手数料を再投資する戦略

シュナイダーマン司法長官は買収ファンド業界の「手数料放棄」戦略に関する調査の一環として、召喚状を発行した。各社はこの戦略を使って、投資家から受け取った運用手数料をファンドに再投資した。この手数料から得た利益にはキャピタルゲインに対する税率が適用され、通常の収入として扱われる場合に比べて大幅に税率が低くなる。この戦略の合法性を巡って議論が起きている。同戦略はリスクが高く、運用益が出なかった場合にはファンドの運用担当者が損失を抱える可能性も持ち合わせていた。

調査はニューヨーク州の納税者保護部門が実施している。同部門は昨年にシュナイダーマン司法長官により新設されたばかり。この戦略の活用を明らかにした買収ファンドに加え、どれほど広範囲に活用されているのかを判断するために大手ファンドにも召喚状が送付された。

ニューヨーク州司法当局はウォール街の大手金融機関も管轄に含んでおり、これまでも大手投資ファンドへの厳しい姿勢で知られる。

ベイン、アポロ、KKRはいずれもコメントを控えた。当局に提出した書類によれば、KKRは2007~09年には運用手数料放棄の手法を活用していたが、それ以降はこの慣行を断っている。

ファンドに支払われた運用手数料は正確にはリスクのある資本にはならないため、投資銀行でのボーナスや「勝訴しなければ報酬が発生しない」弁護士と同様に、所得として課税されるべきだとの意見もある。