2012年6月7日木曜日

マネージドフューチャーズ投資顧問インタビュー:Patrick de Villiers氏(Neural Capital)

2012年6月5日火曜日、Neural Capitalの設立者の一人であるPatrick de Villiers氏にインタビューが行われました。

ALEC HOGG:  キプロスにオフィスを構えているようですが、南アフリカ出身であるあなたとパートナーのBrett Venter氏はなぜそのような場所を選んだのでしょうか。投資科学以外のすべてを学び、Investecに入社、現在は世界中のパフォーマンス表を圧倒するような投資ファンドを運営するに至りましたが、固体物理学を研究し、どうしてこのような人生を歩んできたのか、お聞かせ下さい。

PATRICK DE VILLIERS: 我々はInvestecでキャリアをスタートさせ、そこでは通貨デリバティブを扱っていましたが、Thomas Bass氏による「The Predictors 」という本に魅せられたのです。それはサンタフェの学生がエキゾチックな科学的セオリーを用いて市場を打ち負かし、多くの成功を打ち立てた後にUBSを買収するという話でした。Investecにいたことから我々は予測モデルの研究を行い、通貨で有益なトレンドを検出することに成功しましたが、それを本格的に用いることはありませんでした。しかし、起業への思いが強く、2004年にInvestecを退社、自身で会社を立ち上げることを決意しました。この会社では自分たちの資金を投資したため、苦労は並大抵ではありませんでしたが、私たちはSandtonの小さなオフィスで独自のトレーディング・システムの開発に着手しました。その頃は知りませんでしたが、こういったことは70年代半ばから行われてきていたことでした。私たちの努力は徐々に実を結び、やがてNeural Capitalという形になりました。これは国際的にはCTAと呼ばれる世界で最も流動性の高く、取引規模の大きい先物に関するマネージド・フューチャーズ口座を扱う会社です。

ALEC HOGG: では、どうしてキプロスにオフィスを構えることになったのですか?

PATRICK DE VILLIERS: 私たちは長い間南アフリカにいましたが、この分野で戦うためにはオフショアに移る必要性があると感じました。最も行きやすかったのは欧州だったので、私は親族のいたキプロスに移り、Brettはイギリスに行くことにしました。私たちは毎日スカイプで話し、2週に一度は会っています。現在は主に欧州で事業を行っています。

ALEC HOGG: あなたは物理学の研究をしていて、Brettは化学エンジニアだったようですが、二人ともInvestecに惹かれたというのは不思議に思えるのですが。

PATRICK DE VILLIERS: そうですね、ですが90年代初頭にWitsを卒業しても物理学者にあまり仕事はなく、ちょうどその頃Investecが大学院生によって開発されたプログラムを始動させており、このプログラムに参加した第一人者となれたのは非常に幸運でした。それからデリバティブ業務を拡大させ、より科学的な分野の人々を雇うようになりました。デリバティブの今後を考えると、これまでとは違った見方が必要だと思ったからです。そしてBrettがMintekリサーチラボからInvestecに雇い入れられ、現在に至ります。

ALEC HOGG: あなた方が科学に非常に傾倒しており、自身のファンドを科学的かつ統制がとれたファンドと呼びながらも、これをたわごとと考えるWarren Buffettのような古いタイプの人間の意見を聞くというのは興味深いですね。

PATRICK DE VILLIERS: 市場から利益を得るのに何百万という方法があります。ファンダメンタル分析を用い、企業の財政を調査する、主要トレンドを掴む、など。しかしすべてのマネージャーが自身のテクニックに自信を持つべきというのが私の考え方です。Brettと私は、感情のバイアスや障壁をまったく持たないシステマティックなルールに基づいた非常に規律のとれた方法を用いており、これが成功に一番近い方法だと信じています。

ALEC HOGG: 自身の哲学について多くを語ったウェブサイトでは、経済理論が予測するよりもはるかに多くのリスクが市場には存在すると言っていますね。George Soros氏のスピーチからとったのかはわかりませんが、彼は現在一般的に語られているような経済理論はすべて誤りであると言っています。この考え方に同調するのか、それとも非効率性を利用しようとしているだけなのでしょうか?

PATRICK DE VILLIERS: いいえ、効果的なランダム・ウォーク・モデルは市場に対するすばらしいアプローチだと思います。しかし最善とはいえません。市場のすべての特徴をつかめておらず、2008年などの非常に稀な時期に関してはこの理論によって特性を明らかにされていません。そのため、私たちはこういった出来事が起こりえるものとして考えています。私は幸運にもLTCM暴落の頃に市場に参加しており、2001年には個人的にドル/ランドの大暴落を経験しました。そのため、価格は予想をはるかに超えて変動するものである、こういった動きを完全に利用できるようなストラテジーが必要であるという考えに至りました。実際、トレンドフォロー型とシステマティックなマネージド・フューチャーズ投資ではそれが可能です。これがSoros氏が生涯をかけて行ったことで、彼は経済の大きなイベントや動きを利用しましたが、人々はそれが可能だとは考えていませんでした。

ALEC HOGG:  2005年には42%の収益を出し、先月には一月だけでポートフォリオが30%もアップしましたが、どうしてでしょうか?

PATRICK DE VILLIERS: 私たちはエネルギー、株式指数、通貨、コモディティ(ハード/ソフト)でポートフォリオを多様化させており、先月はこれまでバックテストを行ってきた期間の中で、最も強い共分散、もしくは相関性が、取引資産すべての中に見られた瞬間でした。2008年を思い出させるような株価の暴落はまだ起こっていませんが、他の資産では非常に強いトレンドがおきています。例えば、エネルギーは大きく下落しました。そういったときはすべてがうまくいき、いまだかつてないほどすばらしい成績を出し、それがまだ続いています。

ALEC HOGG: 一月に30%という信じられないような実績を出していても、これは求めるものとは違うんですよね?

PATRICK DE VILLIERS: 実はこれはマネージド・フューチャーズにはよくあることなのです。私は円滑でボラティリティの低いリターンといったものに疑問を持っています。そういったものを聞くとMadoff sensationを思い出します。従来、ポートフォリオに存在するリスクはマネージド・フューチャーズによってカバーされるので、私たちが求めているのはむしろ異常な動きなのです。2010年5月には同様の動きかあり、17~18%以上の上昇が瞬間暴落によって引き起こされ、すべての資産を保持したまま、その後上昇を続けました。こういった、利益に大きなボラティリティを与え、標準偏差を上げる動きををとらえます。これが我々の資産クラスに求められていることなのです。5月のリターンをこれまでのポートフォリオに照らし合わせてみるとなぜ大手年金基金や機関がマネージド・フューチャーズに投資したのかがわかります。

ALEC HOGG: それではここでマネージド・フューチャーズをよく知らない人のために、御社の業務を説明していただけますか?

PATRICK DE VILLIERS: マネージド・フューチャーズは非常にシンプルです。70年代に始まったもので、非常に歴史の長いオルタナティブ投資の一つです。アメリカの取引所で始まり、富裕層が、取引を行う代理権を持ったブローカーやプロのマネージャーの下で口座を開設していました。当時はハードおよびソフトコモディティの先物のみでしたが、徐々にCTA(商品投資顧問業者)と呼ばれるようになり、こういったマネージャーはプロになって、より多くの顧客のキャッシュを集めるようになり、世界の取引所で先物契約の取引を行うようになりました。現在では、大手マネージド・フューチャーズ企業が扱うポートフォリオでは世界の株式指数におけるすべての先物契約、主要外国為替通貨ペア、エネルギー市場、金属市場、ライブストック、綿、カカオといったソフトコモディティを扱っています。ポートフォリオは多様化されており、高い流動性と透明性が求められています。

ALEC HOGG: ではどこに投資するか、ということはどうやって決めているのですか?

PATRICK DE VILLIERS: ほとんどのマネージャーが最小預入額を定めているため、残念ながらここ30年間、マネージド・フューチャーズの扉は小売投資家に対して閉じられています。しかしここ5,6年で、マネージド・フューチャーズとよく似たリターンを出す上場投資信託が多くなってきており、5,000米ドルといった少ない額の小売投資家を受け入れるようになってきています。重要なのは少なくとも5年の実績を持つマネージド・フューチャーズ業者を選ぶこと、小売投資家に対しては15年以上のポートフォリオと実績を持つマネージド・フューチャーズ業者を探すことをお勧めします。そういった業者はたくさんあります。

ALEC HOGG: 運用しているファンドをどのようにして配分していますか?

PATRICK DE VILLIERS: 当社ではシステマティックな運用を行っており、これは我々が設計した独自のシステムです。毎日世界中でおよそ50の異なる資産のモニターを行い、トレンドの兆候を探しています。

ALEC HOGG: 通常、投資期間はどれぐらいですか?

PATRICK DE VILLIERS: 平均しておよそ17日間ですが、市場や資産によっては1、2日から4,5ヶ月となる場合もあります。

ALEC HOGG: まとめると、御社の方法というのは科学的な公式や分析によって誰よりも早くトレンドを掴み、いち早く投資を行い、トレンドが勢いを失う前に売る、ということですか?

PATRICK DE VILLIERS: いえ、実はその反対です。トレンドが始まり、確実になるまでは取引を始めません。またトレンドがおさまり、反転を始めてから取引を終了します。トレンドフォロー型は通常、実際のトレンドの60~70%をつかむといったところでしょうか。我々は従来の市場参加者とは異なり、トレンドフォロー型なので、高く買って低く売ります。高値ブレイクアウトシグナルを認めた際に市場に参加します。しかしいつも読みが正しいわけではなく、実際は60%が間違っているのですが、読みがあたったときには損失を埋め合わせられるほどの高い収益を得ることができます。

ALEC HOGG: つまり、直感は使わずに完全に科学的な手法をとっているわけですね?

PATRICK DE VILLIERS:  100%科学的です。2004年の設立当初にはLTCMの記憶が新しく、ブラックボックス的システマティックな投資スキームに誰も見向きもしなかったため、苦労しました。しかし、収益を上げるためには使用するシステムは簡単に説明ができるもの、透明性の高いもの、特にこのビジネスに詳しい欧州の大手機関が使いたがるものであるということが重要です。私たちは富裕層の顧客を前にしてA4の用紙1枚で私たちのシステムについて説明することができます。

ALEC HOGG: なぜ南アフリカ出身の青年2人が世界を相手にしてパフォーマンスチャートのトップ10入りすることができたのでしょう?2010年と2011年には3位でしたよね。

PATRICK DE VILLIERS: 我々はモデルに費やす仕事量を時々減らしているのです。これは2004年に始めたことで、リサーチには何千という時間がかかります。しかし一番重要なのは熱意です。我々は科学畑からやってきましたが、研究に対する熱意は強く、何百億ドルもの利益を出すことよりも自分たちが正しいということを証明したいのです。直感で動くトレーダーが互いに対して過大評価をしているといった議論をよく金融機関でしてきましたが、彼らは自分たちの実績がフランチャイズのおかげであることや自分たちがのっている流れによるものだということを理解していません。こういう状態から抜け出し、何の情報もなしに取引を行うためには、どんな外部からのアドバイスもアルファを抽出するための能力に関する本当のテストとはならないのです。

ALEC HOGG: 先ほど Thomas Bass氏による著書「The Predictors」に触れられましたが、他にはどんな本に影響を受けましたか?

PATRICK DE VILLIERS: 私はNassim Talebが好きで、特に「Black Swan」出版後に好きになりました。金融心理について書かれた本はいくつかありますが、市場での強欲と恐怖に苦しみ続ける人間の姿を改めて思い出させてくれる本をよく読みます。願わくばそういった感情が永遠に続いてほしいですね。私たちが利益を得られるのはそのおかげなのですから。2008年に起こったバブルや暴落で劇的な利益を生み出すことができるのは強欲と恐怖なのです。
ALEC HOGG: そして利益を生み出すことができるのはそういった強欲や恐怖を自分自身から取り除くことができたときだということですね。

PATRICK DE VILLIERS: 私たちは感情のバイアスを100%排除します。毎日市場を見るということはしませんし、ブルームバーグやCNBCも見ません。経済に関する報道やアナリストの意見は考慮に入れず、価格だけを観察します。

ALEC HOGG: 市場を見ずに、絶えずグラフを見ているということですね?

PATRICK DE VILLIERS: そういうことです。

ALEC HOGG: そしてあなたが決断を下すのではなく、モデルが決断するのでしたね。

PATRICK DE VILLIERS: そうです。すべては自動で、どのモデルにも私たちは干渉しません。唯一の干渉は毎日行うリスク管理で、これは世界の取引所で行われている簡単な取引です。これが我々の唯一の干渉で、唯一投資家に求められていることです。

ALEC HOGG: ここ数年間のポートフォリオのパフォーマンスによってあなたの主張がかなり明確に示されたと思いますが、今後はどうでしょうか?また大暴落や高騰があるかもしれませんが、それでもトップでいられるでしょうか?

PATRICK DE VILLIERS: 正直なところ、暴落においては利益を得られると確信しています。我々のシステムにとって有害なのは減速した上げ相場が長期間続くことです。上げ相場では年に10~15%とゆっくり上昇し、資産クラス全体にかなり安定した価格の動きがあることでしょう。これは有害なのです。2007年、そして2008年の暴落後の回復となった2009年にこのようなことがありましたが、こういった時期にもポートフォリオの残りが収益を上げながらも、投資家の資産を守れるような堅実なシステムを開発していきたいと思っています。究極的には2億ドルの収益を上げること、これがマネージャーにとって本当の意味でのテストになるでしょう。

ALEC HOGG: 現在の国際状況について、何かご意見はありますか?

PATRICK DE VILLIERS: 残念ながら市場に関しては何も言うことがありません。ただ言えるのは我々の現在取引中の資産の多くは株式指数でのショートで、多くの人がそうだと思います。しかしそれ以外には国際状況に関してコメントはありません。非常に急速に変化しますから。



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1 件のコメント:

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