2012年6月26日火曜日

CTA規制の今後を考える

店頭市場への規制がCTA業界に一種の試練をもたらしていますが、考慮すべき点は何でしょうか?CTA(商品投資顧問)は通常、先物取引で資産価格、金利、FXなどの分野のトレンドに賭け、収益を狙います。

厳密に言えば、米国におけるCTAとは、CFTC(商品先物取引委員会)に登録された会社および個人を指します。CFTCは先物、オプション、マネージドフューチャーズにおける助言業務を補完する機関です。欧州では、Dexiaのような会社がCTA戦略のUCITS(ユーシッツ)版を開始しました。現在トータルリターン・スワップなど複数の分野でも、対応する手段が必要とされています。

現在CTA界は二つの試練に直面しています。Dexia Asset Managementのシステム運用ファンド部門長Steeve Brument氏によると、まず一つ目は規制で、緩やかな規制と厳しい規制の二種類が存在します。もう一つはトレンド、もっと言えばトレンドの欠如です。

Brument氏はパリのチームに所属しており、40億ユーロの運用資産において、CTAを含む複数のオルタナティブ投資戦略を手がけています。CFTCの規制には、CTA会社および投資家から見て緩やかな規制も含まれていますが、Brument氏は、このような緩やかな規制が対象とする問題は、実際には必ずしも存在しないと言います。むしろコモディティや店頭取引市場の心配の種は、米国の規制環境が農作物や原油の価格トレンドに左右される可能性があることです。米国では、原油価格は政治的に非常に慎重に扱うべき問題です。

しかしBrument氏は、今後30年~40年間スパンでは、コモディティ市場の相場操縦の余地はきわめて小さいと主張します。過去には、コーヒー豆や銀などにおいて、市場の買い占めが起こったかもしれません。しかし、原油のようなケースでは、単純に市場規模が大きすぎるため価格操作ができないと考えられます。そのため、ポジション制限などの規制案が持ち上がるような問題はもはや存在しない可能性もあります。

―流動性を保つCTA―

CTAは他のオルタナティブ投資と同様に金融危機時の立ち回りを批判されていますが、Brument氏は、CTAが一貫して流動性を保っていたと言います。CTA業界にとっては、規制当局によるHFT(high-frequency trading:高頻度取引)など他分野に対する規制の熱心さはかなり厳しいと感じるかもしれません。

しかし、まず指摘しなければならないのは、CTAはアルゴリズムに依存する可能性があるものの、HETに準えるようなマーケットメイカーではないということです。Brument氏によれば、そもそもHFTに従事する人々は、マーケットメイカー的役割を模しているかもしれないが、それほどのコミットメントはないそうです。Brument氏は「大きくコミットするならばマーケットメイカーとして登録するし、一日あたりの発注数制限下で免税を受けるのが最も賢いやり方だ」としています。

CTAにとって最大の敵は市場介入です。Brument氏は「我々は市場心理によって利益を得ている。市場に何らかの思惑があれば価格は上下する。市場は自動調節機能を持っているのだ。にも関わらず政府や中央銀行は市場心理を一変させる力を持っている」と話しています。




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