2012年6月1日金曜日

完全分離保管口座で投資家の資産を保護

先物取引業界の分離資産規則のおかげで、万が一投資(ファンド)会社などが破綻したとしても、投資家の資産が無くなることはありません。

顧客資金の分離保管義務が、投資家の資産を保護しているわけです。


近年、多くの投資家の間で、投資会社の倒産時に自らの資産の償還(回収)が難しいことは周知の事実です。最も極端な例は、バーナード・マドフの投資ファンドですが、他にも、報道には及ばない小規模な破綻および支払不能に陥るケースが存在します。マドフの様な違法行為やポンジースキームでなくても、投資家が資産の残高を容易に取り戻せないケースもあります。

投資家と投資会社の資産が分離されないと、投資家が債権者リストの最後の方に名を連ねるという、複合的な問題が発生します。投資家の資産が混蔵されて、投資会社の業務費や自己取引に使われているかもしれません。もし投資会社が倒産すると、そのような混蔵資産を投資家が回収することはほぼ不可能に近いでしょう。

しかしながら、マネージドフューチャーズを含む先物(商品)取引口座は、法律規制により、投資家の資産と投資会社の資産を分離するよう義務づけられています。この資産分離の実施により、顧客の口座を管理するFCM(Futures Commission Merchant, 米国の先物取引所の認可を受けた先物取引業者)が仮に倒産したとしても、投資家の資産は保護されます。

FCMの破綻などは稀ではありますが、過去の事例をあげると、2005年のRefco(レフコ)のケースがあります。


投資リスクと投資会社リスク

マネージドフューチャーズの投資家は、はじめは商品投資顧問業者(CTA)の口座に直接お金が投入されていると思うかもしれません。しかし、実際はFCMに投資家個人の名義で口座を開設します。そしてCTAはその口座の資産を運用する権限が与えられているのみなのです。

さらに、そのFCMでさえも、顧客の資金を物理的に保管するわけではありません。

通常は、FCMが利用するカストディアン(金融機関)が実際の資金を管理します。

こうして分離保管された資産は、CTAの開示書(ディスクロージャー・ドキュメント)に予め定められた戦略に基づいて運用されます。


FCMの報告義務

分離された投資家の資産は、業界内規制機関によって、日次、月次、および年次の厳しい監査を受けます。FCMは米国先物協会(NFA)に、投資家の資産の詳細な内訳を報告書として毎日届け出なければなりません。さらに全てのFCMは、月次有価証券報告書を、 政府規制機関のCommodity Futures Trading Commission (CFTC) に 月末から17営業日以内に届け出なければなりません。

最後に、FCMはJoint Audit Committeeという米国の先物取引所と規制機関の合弁企業による年度監査を受けます。

CFTCの監視

分離資産規則はCommodities Exchange Actに規定されています。それによって、全ての分離資産の業務がCGTC(先物取引業界にあたる Securities and Exchange Commission(SEC))に規制されます。CFTCの規定により、どのような違反事例も管理措置の対象となります。FCMの責任が明らかになった場合は、CFTCが取引権を一時または完全停止、処罰、あるいは業務停止命令を下す可能性があります。

実際のところ、これまで違反行為はほぼ見られませんでした。多くは技術的もしくはFCMの処理障害、または報告書の遅延でした。例えば、CFTCは2009年ある大手FCMに、分離資産に関する規則に違反したとして30万ドルの罰則金を課しました。またそのFCMは投資家の口座に十分な資産がありませんでしたが、CFTCは報告過程に違反があったとして責任を追及しました(FCMが2007-2009年期間の国債を、自己資産と顧客資産を混在させた状態で購入したので、資金ショートが起こりました)。責任追及に応じて、そのFCMは顧客と会社の口座間での適切な分離を維持するために、分離計画メカニズムを構築しました。




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