2012年6月9日土曜日

ETF型マネージドフューチャーズを検証


欧州の混乱はまだまだ収まりそうになく、主要経済が次々と格下げされ、救済基金そのものの不透明性が指摘されている中、株式市場の見通しに暗雲が立ち込め、多くの投資家がオルタナティブへのエクスポージャーを増やし始めています。ボラティリティやヘッジファンドへの投資の他に、今ますます注目を集めているのがマネージド・フューチャーズです。

マネージド・フューチャーズとは様々な資産クラスや部門で先物契約のポートフォリオを管理する投資のプロによって行われる取引です。マネージャーは様々なトレーディングシステムを用いますが、その中にストラテジーに基づいたインデックスベースの方法論があります。彼らの目標は従来の株や債券への投資から、他の資産クラスとの相関性の低いオルタナティブへとポートフォリオを多様化することです。多くの場合、マネージドフューチャーズのアカウントはロングでもショートでも可能で、ポートフォリオ全体のボラティリティを減らすことができます。

このストラテジーを利用できるのは主に富裕層のみですが、最近では上場投資信託業界からいくつかの商品が提供されており、多くの人々が同様のテクニックを用いることができるようになっています。これらのETPはわずかな費用で最小投資額の設定なしに多くのマネージドフューチャーズ戦略を投資家に提供しています。これにより、マネージドフューチャーズの商品は株式市場のパフォーマンスに幻滅した多くの投資家や債券バブルが起こることを懸念している投資家に利用されるようになりました。これをふまえ、3つのファンドを比較し、それぞれの違いとETF型マネージド・フューチャーズ界で予測される賛否について考えていきます。

S&P Commodity Trends Indicatorに関連したELEMENTS ETN  (LSC)

このETNは、6つの部門で高い流動性を持つ16のコモディティ先物のベンチマークであるS&P Commodity Trends Indicatorへのエクスポジャーを提供しています。これは月ごとにリバランスされ、多くのコモディティへのエクスポジャーを持つために様々な部門でロングとショートのポジションを利用しています。現在、エネルギー部門での取引はなく、ライブストックはロングの保有のみとなっています。コモディティグループの残りは穀物への-36.8%の配分が大半を占めるショートポジションとなっています。

ファンドの確かな配分ストラテジーと月ごとのリバランスにも関わらず、商品は過去52週間にわたって他の2つよりもかなり低いパフォーマンスとなっており、この1年でおよそ14.3%のマイナスとなりました。しかし、手数料が20bp低いこと、そしてベータが-0.08であったことから、最も安く、市場との相関性が最も低いファンドとなっています。しかし、この商品の全保有資産額が一番少ないということ、つまりこの3つの中では最も分散化された商品とはいえないかもしれない、ということを考慮しなくてはなりません。

WisdomTree Managed Futures Strategy Fund (WDTI)

このETFはDiversified Trends Indictorを追うもので、これは市場のパフォーマンスに相関性のない市場がいかなる方向に変動しようともポジティブなトータルリターンを投資家に提供することを目的としています。このファンドは債券先物、ノンデリバラブル通貨フォワード、コモディティ先物、そしてコモディティスワップの組み合わせを使用しています。現在ファンドはユーロ先物(15.7%)と日本円フォワード(14.9%)に大きなエクスポジャーを持ち、米長期国債と穀物先物にかなりの額の投資を行っています。

パフォーマンスに関してWDTIは52週間で9.6%下落するという苦しい年となりました。しかしSPYベータは-0.14に留まり、市場からは完全に独立して動いていることを示しています。つまり、パフォーマンスは好ましくなくても、他の2つよりも流動的にポートフォリオを分散化させることができます。

iShares Diversified Alternatives Trust (ALT)

iSharesは従来の資産クラスと歴史的に相関性の低い投資からの絶対的なリターンを最大化することを目指しています。また、歴史的に相関性のある資産でのロングとショートポジションをとることで先物とフォワード契約に付随するリスクとボラティリティをコントロールしています。このため、先物契約を最大の保有資産とし、ロングとショート間のスプレッドをフラットな状態で維持します。現在、最大保有資産は中期国債先物やドイツユーロ国債先物でのロングポジションで、最大のショートポジションは10年物オーストラリア国債先物とCAD/USDフォワードです。

ALTはこの3つの中で最もパフォーマンスがよく、過去52週間で4.4%のマイナスに留めました。しかし、ボリュームは3つの中でもっとも小さく、ベータは0.64、つまり市場とかなりの相関性を持っていることを示しています。ハイリターンを求める投資家にとってALTはトップピックではありえますが、低い相関性を求める投資家は他の2つのどちらかを選ぶべきでしょう。しかし市場が2012年にもう一度下落をはじめ、先物とフォワード契約が市場とまた新たな関係性を持つようになれば、状況は変わってくる可能性があります。


Category
LSC
WDTI
ALT
Expenses
0.75%
0.95%
0.95%
Total holdings
16
29
36
Volume
43,000
59,600
24,300
Returns (one year)
-14.3%
-9.6%
-4.4%
Beta (with SPY)
-0.08
-0.14
0.64




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