2012年6月8日金曜日

株価下落時に好成績を収めるマネージドフューチャーズ・ファンド

2008年の金融危機以降、マネージドフューチャーズが注目されるようになりました。その年、ほとんどすべてのカテゴリーで多くの資金が失われる中、Morningstarによるとミューチュアルファンド型マネージドフューチャーズは平均で8.3%のリターンを出しました。この結果を受け、慎重な投資家はマネージドフューチャーズに投資を始めています。
しかし、新しくこの分野に投資する人にとって近年あまり嬉しいニュースは聞こえてきません。金融危機の頃には脚光を浴びましたが、その後マネージドフューチャーズは低迷しています。2009年、S&P 500が26.5%のリターンを出した年にマネージドフューチャーズは5.8%のマイナスとなりました。また、マネージドフューチャーズは2010~2011年にかけても停滞し続けています。では、マネージドフューチャーズへの投資は失敗なのでしょうか?そうとも限りません。マネージドフューチャーズは分散性を供給するためのもので、株式との相関性がほとんど見られず、この目的にはかなっているのです。

ミューチュアルファンド型マネージドフューチャーズはこの5月、株が下落した際に瞬く間に首位に躍り出ました。S&P 500が8.8%のマイナスを出した一方で、ミューチュアルファンド型マネージドフューチャーズは0.35%のプラスとなりました。Altegris Managed Futures Strategy、Direxion Indexed Managed Futures Strategy、Grant Park Managed Futures、Princeton Futures Strategyといったミューチュアルファンドはダウンサイドから資金を守ることを目的としています。

マネージドフューチャーズが長期的に安定した投資となるかどうかはまだわかりません。多くのファンドはまだそれほど長い実績を持っていないため、結論を出すのは早すぎるでしょう。しかし、ヘッジファンドや他のトレーダーが数年にわたってマネージドフューチャーズのストラテジーを用い、成功を収めているという事実から、この分野は投資家を惹きつけ続けています。

マネージドフューチャーズ・ファンドは、原油、大豆、外国通貨、株式指数といった幅広い市場を追う証券を扱っています。トレーダーは価格が上昇すると見込んだときには先物でロングを行い、価格が下がると見込んだときにはショートを行います。ショートが可能であるため、ファンドは株式や債券と多くの場合、相関性がほとんどありません。これまでマネージドフューチャーズは株式が暴落したときに大きな収益を出してきました。S&P 500が2002年に22.2%のマイナスとなったとき、マネージドフューチャーズのベンチマークであるBarclay CTA Indexは12.4%のプラスとなりました。しかし先物は長期的に平均以下のパフォーマンスとなることもあるため、株式が上昇しているときに下落するということも起こりえます。1999年、S&P 500が21.1%のプラスとなった年にBarclay indexは1.2%のマイナスとなりました。

マネージドフューチャーズのトレーダーの多くはトレンドフォロー型です。例えばカカオの価格が上がれば、トレーダーはこのトレンドが続くと考えるでしょう。コモディティ価格が下がり始めると、トレーダーは価格が下がり続けることを予期してショートポジションをとります。ファンドはトレンドが続いたときに最善の結果を残せるような行動を取ります。株式が大きく下落した場合、そのような動きは数ヶ月続くことが明らかなため、先物のトレーダーはよい成績を収めることができます。今年、先物トレーダーは通貨の取引で収益を上げました。「今年、多くのトレンドフォロー型がユーロのショートとドルのロングで収益を上げた」とAltegrisの取締役副社長Dick Pfister氏は言います。

マネージドフューチャーズ・ファンドは昨年のように、市場が不規則でトレンドのない状態になったときにはよい成績を出すことができません。その年の初めに収益を見込んで株式も購入したトレーダーは株が急落した夏に二重の損を被りました。

マネージドフューチャーズ・ファンドの欠点の一つはコストが高いことで、平均経費率は2.52%となっています。これを少しでも抑えるにはインデックスファンドを使うのがいいでしょう。最も安いのはDirexion Indexed Managed Futuresで、経費率は1.45%です。このファンドはAuspice Managed Future Indexを追い、トレンドフォロー型のモデルを用います。コモディティ価格が上昇した際にはこの指数はロングとなります。価格下落の際にはショートとなります。「この指数は透明性が高く、ルールに基づくものだ」とDirexionのオルタナティブ投資担当責任者のEd Egilinsky氏は言います。

最近好調なのはAltegris Managed Futuresで、先月に3.3%の収益を出しました。Altegrisはその資産を、それぞれ異なるストラテジーを持つ6つのアクティブマネージャーに分配しています。1週間といった短期間だけポジションを持つものもあれば、最長6ヶ月間保有することで長期的なトレンドを追うものもあります。様々なタイプのマネージャーを組み合わせることで、Altegrisは結果を分散化させ、困難な市場環境での大きな損失を防ぐことを目的としています。

多様化という点でいうと、Princeton Futuresは17のアクティブマネージャーを採用しています。ほとんどがトレンドフォロー型ですが、中にはファンダメンタルな見通しを分析するものや、今後のトレンド見通しに従って投資をするものもあります。また、既存のトレンドと逆向きに投資を行う、カウンタートレンド型のマネージャーも採用しています。こういった分散化アプローチは昨年実を結び、Princetonは多くの競合他社よりもよい成績を収めました。「トレンドフォロー型は2011年には苦戦したが、同じ年にカウンタートレンド型が最も良いパフォーマンスを出した」とPrinceton Fund Advisorsの最高投資責任者であるGreg Anderson氏は言います。



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