2014年4月23日水曜日

ハイウォーターマーク方式の成功報酬とは?

マネージドフューチャーズやヘッジファンド、一部ミューチュアルファンド(投資信託)の手数料の一種に「成功報酬」というものがあります。

成功報酬を英語では「Incentive Fee」(インセンティブ・フィー)と言います。

「インセンティブ」には、

  • やる気を起こさせる、鼓舞する
  • 出来高による、能率による


などという形容詞の意味がある通り、投資顧問(CTAやファンドマネジャー)のモチベーションとなる報酬形態の一つです。

マネージドフューチャーズやヘッジファンドの業界では、「Two, twenty (2, 20)」と言われますが、「管理費2%、成功報酬20%」というのが、業界の(プロのマネーマネジャーによる)資産運用手数料のスタンダードとなっています。

ファンドやプログラムによっては、管理費が1%~4%、成功報酬が20%~35%ぐらいの幅で異なりますが、大半は「2, 20」です。

アグレッシブなプログラムで、成功報酬30%、など稀にあります。

では、この成功報酬が、何に対して20%なのかという問題ですが、これは運用成果である利益分、つまり出来高の20%です。

そして、ここで、ハイウォーターマークという概念が非常に大事になってきます。

これによって、

「出来高 = 過去の運用口座残高のピーク(最高水位)を上回った部分」となります。

ハイウォーターマークとは、「運用実績(パフォーマンス)の過去最高新記録」と考えればわかりやすいと思います。

つまり、運用口座残高の「過去最高水位」ですね。

簡単なCTAの例を使って、具体的に説明しましょう。

(成功報酬は、年間、月間、四半期ごとなど、プログラムによって異なります。以下の例では、月間で話をします。)


例えば、4月1日に10,000ドルで運用を開始、4月30日には10%プラスで口座残高が11,000ドルになりました。

この増加分の1,000ドルの20%の200ドルが成功報酬としてCTAなどの投資顧問に支払われ、残りの800ドルは投資家の口座に残ります。

5月31日には少しマイナスとなり、残高が10,500ドルでした。
この場合、成功報酬は一切発生しません。

6月30日にはロスを取り戻し、また口座残高11,000ドルになりました。
この場合も、成功報酬は一切発生しません。

なぜなら、口座残高の過去最高新記録であるハイウォーターマークに達していないからです。

7月31日には、ハイウォーターマークとなる13,000ドルになりました。

過去最高記録の11,000より2,000ドルのプラスですので、この20%の400ドルが成功報酬としてCTAに支払われます。

以上をまとめると、

$10,000で運用開始
4月:$11,000→ハイウォーターマーク=成功報酬発生
5月:$10,500
6月:$11,000
7月:$13,000→ハイウォーターマーク=成功報酬発生

となります。

ハイウォーターマーク方式の成功報酬制度の最大の利点は、投資家と投資顧問の動機や目的が一致するという点です。

投資家は資産を増やすことが一番の目的ですし、投資顧問も投資家の資産を増やして初めて報酬が支払われます。

こうして、利害の衝突(Conflict of interests)が避けられ、利害の一致が達成されます。





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