2012年6月1日金曜日

Paulson, Dalio, Ackman: ヘッジファンドの雄『The Alpha Masters』ですべてを語る


ヘッジファンド・マネージャーたちは彼らの成功や失敗についてあまり語りたがらないようですが、『The Alpha Masters』でJohn Paulson 氏やDavid Tepper氏といったビッグネームが自身の体験を明らかにしました。

Maneet Ahuja氏は今日発売となる自身の著作『The Alpha Masters: Unlocking the Genius of the World’s Top Hedge Fund Managers』の中で、最も影響力が強く、成功を収めた9つのヘッジファンド・マネージャーについて書いています。
  • Bridgewater AssociatesのRay Dalio
  • MAN GroupとAHL のPierre LaGrangeとTim Won
  • Paulson & Co.のJohn Paulson
  • Avenue Capitalの Marc Lasry とSonia Gardner
  • Appaloosa ManagementのDavid Tepper
  • Pershing Square Capitalの Bill Ackman
  • Third Pointの Dan Loeb
  •  Kynikos Associatesの Jim Chanos氏
  • Saba Capital Management のBoaz Weinstein氏

この本はこれらのヘッジファンド・マネージャーの投資法を紹介するに止まらず、彼らが一体何者なのか、彼らのモチベーションは何か、そしておそらくもっとも興味深いのはどのようにして彼らが失敗を乗り越えるか、ということを説明しています。

Ackman氏の章では、彼をきちんと「アクティビスト・インベスター」と呼び、このニューヨークのファンド・マネージャーは若かりし頃のショート・ポジションについて明かしています。それはハーバードのビジネススクール卒業直後に設立した初めてのファンド、Gotham Partnersに有害な影響を与えることとなりました。

そのショートとはMBIAが持っていたもので、これはアメリカの地方債の最大手保険業者であり保証会社の一つです。2002年、Ackmanが信じていたMBIAは非標準型でリスクの高いCDOに保険をかけ始め、トリプルAの格付けにも関わらず、オーバーレバレッジ、under-reservedとなりました。

Farmer Macという会社での以前のショート・ポジションを片付けたAckman氏は、MBIAの避けられない破綻について白書を書きました。しかしMBIAのCEOはAckman氏がそれを公表する前に入手したのです。その経緯が『The Alpha Masters』には次のように書かれています。

「MBIA のCEO、  Jay Brown氏はAckman氏に連絡を取り、一対一の会合を要求しました。そこでBrown 氏はAckman氏に対し報告書を提出しないよう思いとどまらせ、MBIAがニューヨーク州と市の債権の最大手保証業者としてその強大なコネを使いAckman氏を問題に巻き込もうとしているとほのめかしました。『君はまだ若く、キャリアも始まったばかりだ。この報告を出す前によく考えたほうがいい』とBrown氏は警告しました。それでもAckman氏は報告書を提出しました。するとすぐに『ありとあらゆる凶事が自分にふりかかってきた』と彼は言います。」

その年の下旬にニューヨークの裁判官はGotham GolfとFirst Unionの合併を阻止します。その結果、投資家たちが資本の返金を求めました。

MBIAは当時のニューヨーク州司法長官であったEliot Spitzer氏に対し、Gothamは同社に関して誤解を与えるうその情報を広めていると申し立てました。Spitzer氏はGothamを召喚し、SECが調査に乗り出しました。Ackman氏はこの件に関して6日間証言をしました。この事件は6年間も続きました。

本文からの引用:

「… Ackman氏は世間の厳しい目にさらされ続けました。『新聞にはほとんど毎日のようにGothamやSpitzer氏の次の標的となるヘッジファンドのことが書かれていた。娘を幼稚園に連れて行ったときにも、他の親が子供たちを私から遠ざけようとしているようだった。例え自分が無実であっても攻撃的な規制官が自分を有罪にしようとしているのは恐ろしいことだ』」

Ackman 氏はこの混乱の中でGothamの共同設立者 David Berkowitz氏を失いました。Ackman氏はAhuja氏にこのように語ります。「Davidはもう十分だと考え、オフィスに来なくなった」

MBIAの追随の手がのしかかり、名声が地に落ちたAckman氏は投資家への義務感に突き動かされました。彼は2003年、無報酬でこの問題に対処し、ファンドを縮小しました。その後数年間でAckman氏はすべての流動性投資を投資家に、Gothamの民間投資の簿価のおよそ3倍である時価で返し終えました。

最終的にSECとSpitzer氏はGothamの活動には違法行為はなかったとの結論に至りました。しかし投資家が資金を回収し、政府の調査が入ったGotham Partnersは運営できず、大きなダメージが残りました。しかしもちろんこれでAckman氏が引き下がったわけではありません。彼は約1年後にPershing Squareを設立します。

『The Alpha Masters』は他にもこの業界で最も尊敬を集めるマネージャーたちの試練を彼ら自身の言葉で綴ります。以下で、作者のManeet Ahuja氏が持つこれらのアルファ・マスターたちや彼らが活躍するヘッジファンド界に関する考えを語ったインタビューが見られます。




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2012年5月26日土曜日

モルガンスタンレーからヘッジファンドへ


モルガンスタンレーの金利トレーダーDavid Adams氏は、関係筋によると、同社を退職しヘッジファンド大手Brevan Howardに転職するとのことです。

Adams氏は、オーストラリアおよびニュージーランド国債に特化した、シドニーを拠点とするモルガンスタンレー金利トレーディング部門に在籍していました。彼はアジア太平洋地域の国債をも扱っていました。

Adams氏は、香港を拠点とする、Brevan Howard Asset Management LLP傘下のファンドに移転するとみられています。

Brevan Howardは"マクロ"ファンド、すなわち欧州債務危機や米国経済の挑戦といった幅広い経済的視点に基づき通貨やコモディティなどの金融資産に投資するファンドとして知られています。モルガンスタンレーとBrevan Howardはコメントを控えています。

近年、豪国債は投資家の注目を集めており、従来の安全地帯とされてきた米国債と比較して、相対的安全性と高利回りが魅力となっています。



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2012年5月22日火曜日

ミューチュアルファンド型マネージドフューチャーズで広がる可能性


マネージドフューチャーズはこの20年で爆発的に成長してきました。1990年にはわずか110億ドルだったマネージドフューチャーズの運用資産は、2470億ドルにまで増加しています。その主な要因は、マネージドフューチャーズによるポートフォリオ分散化の効果、そして株や債券といった伝統的アセットクラスとの相関性がないことです。

Altegris Investors代表でCEOのJon Sundt氏は「この10年間を見ると、マネージドフューチャーズのパフォーマンスは株式のそれを大幅に上回っています。株式がほぼ横ばいに近いわずか上昇であるのに比べ、マネージドフューチャーズは126%の成長を遂げました」と述べます。「その間、マネージドフューチャーズのドローダウンはより小さく、標準偏差も低く、そして伝統的投資資産クラスとの相関性がかなり低く、マネージドフューチャーズと株式との相関性は3年間、5年間、10年間でゼロに近くなっています。」

マネージドフューチャーズの成長は、ほとんどが機関投資家と大口の個人投資家に由来しています。しかし、マネージドフューチャーズの新たな構造、すなわちミューチュアルファンド形式のマネージドフューチャーズの誕生により、最少投資金額わずか2,500ドルからの投資が可能となり、個人投資家の投資手段の一つとなりました。

AQR Capital Management社長のLasse Pedersen氏は、「機関投資家は主要な伝統的アセットクラスとオルタナティブ投資に分散投資することで多大な利益を得てきました。オルタナティブ投資戦略をミューチュアルファンド形式にすることで、個人投資家もより機関投資家的なポートフォリオを組めるようになったのです」と語ります。

2007年5月、Rydex/SGIが初めてマネージドフューチャーズを組み入れたミューチュアルファンドを開設して以来、この他さらに5社が同様のファンドを開設しました。現在では、マネージドフューチャーズの運用資産総額2470億ドルのうち、ミューチュアルファンドは30億ドル以上を占めます。

日毎の流動性

ミューチュアルファンド型の構造は、低い最小投資金額の他にも、様々な利益をもたらします。

Equinox Fund ManagementのCEOのBob Enck氏は「ミューチュアルファンド構造の特性の一つは、高い流動性であり、投資家の希望に応じて日毎に償還、取引停止が可能であること。もう一つの利点は、独立した受託会社が運用資産を監視しているということです。この独立性が、高い監視効果を確立している」と述べます。

分散化

「ミューチュアルファンド型マネージドフューチャーズの更なる利点は、複数の商品市場において、ロングまたはショート戦略に投資できる能力です。」と、Direxion Fundsのマーケティング部長Andy O’Rourke氏は語ります。さらに曰く、「複数の商品市場で、上げ相場と下げ相場の両極面において収益をあげる、幅広い分散投資が可能となります。上昇と下落の両トレンドで収益をあげなければ、持続的なリターンは得られないでしょう。」

Natixis Global Asset Managementの関連会社、AlphaSimplex Groupの社長兼CEOのJerry Chafkin氏は「ショート(空売り)という概念は、個人投資家の一部にとっては非常に恐ろしいことでしたが、ミューチュアルファンド構造においては、プロの投資顧問が、厳格なモニタリングと分散化された方法で投資するので、厳重なリスク管理のもと、ショートによる利益を得ることができます」と語ります。

ミューチュアルファンドは日毎の流動性を提供しますが、マネージドフューチャーズはやはり長期的な投資です。Chafkin氏によれば「マネージドフューチャーズは長期的資産配分のポートフォリオに加えた場合、投資効率の向上に役立つという論理を支持した著名な研究が幾つもあります。市場が大きく反転するときほど、マネージドフューチャーズは特に良いパフォーマンスを出す理由は、マネージドフューチャーズは下げ相場のトレンドを認識し、伝統的資産クラスの価値が下落する中でも、収益をあげる特性があるためです」とのこと。

Sundt氏は「収益のみを追い求めてマネージドフューチャーズに投資するのではありません。伝統的資産クラスから分散化された、着実で長期的なパフォーマンスを得るためにマネージドフューチャーズに投資するのです」と述べます。

機関投資家

ミューチュアルファンドの低い最小投資額が個人投資家への利点となる一方で、多くの機関投資家もやはりミューチュアルファンド型マネージドフューチャーズに投資しています。

「機関投資家の中には、厳格に規制されたファンドへ投資する選好性が高まりつつあるようです。」とEnck氏は語ります。また、「マネージドフューチャーズは管理口座を利用する上に、ミューチュアルファンド構造が、さらなる監視と規制の層を提供するため、機関投資家にとって魅力的なようです。多くの機関投資家は、直接CTAに投資するのに十分な規模の資金を有するが、こうした機関投資家に、自ら積極的にCTAプログラムによるポートフォリオを管理する専門性は必ずしもありません」と加えます。

我々が取材した各ミューチュアルファンド運用会社は、ミューチュアルファンド型マネージドフューチャーズの成功のカギは投資顧問業者にあると、口を揃えます。



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2012年4月12日木曜日

ヘッジファンド、2006年ぶりの高成長を記録

ウォールストリートジャーナルによれば、ヘッジファンドは、2006年以来同時期年初来で最高のプラス成長を記録しました。本年は、4.94%のプラスです。

確かに、本年は株式も好調で、ダウ平均は年初来で8.1%のプラスなので、それと比較すると劣りますが、リスクをヘッジしつつ資産運用をするという観点と、株式・債券市場との相関性がないという意味からは、やはりヘッジファンドらしさを発揮していると思われます。

今年の第1四半期は、昨年とは異なり、政策関連の議論がファンダメンタルズの支配的な要因となり株式市場をサポートしました。それゆえに、イベントドリブン戦略を使ったヘッジファンドなどは全体と比較してもより大きなリターンをあげました。例えば、HFRI Equity Hedge Index(指標)は7.3%のプラスです。




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2012年4月10日火曜日

ヘッジファンドのさらなる民主化

皆さんもすでにニュースなどでご覧になっているかも知れませんが、昨日、4月9日、ヘッジファンドの今後を大きく変えうる重大なニュースがありました。そうです、ヘッジファンドの公募が解禁になったのです。

これまで、80年間の長きにわたり公募が規制され、私募のみで資金を集めてきていたヘッジファンドも、これからは公のメディア媒体を使っての募集が可能となりました。ヘッジファンドの民主化がますます加速することは確かです。

こちらが関連記事です。

そのヘッジファンドの8割がマネージドフューチャーズ戦略を使っているといわれています。




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2012年4月5日木曜日

投資家はマネージド・フューチャーズのETFに投資すべきか?

Auspice Capital のPresident 兼 CIO (Chief Investment Officer) の Tim Pickering 氏のインタビューのビデオです。なかなか興味深いのでご覧ください。


このビデオで話される主なトピックの一つに、カナダではETFの方が、ミューチュアルファンドよりも費用効率が高い一方、アメリカではCTAマネージド・フューチャーズ)の方がより戦略的である点が取り上げられています。なぜか?それは、各国の規制環境の枠組みに応じて、より効率的なファンド形態・運用手法が変わってくるからであると、同氏は語っています。

また、話題となっているファンド、HMF (Horizons Managed Futures) は、エネルギー、金属、農商品、金利、通貨を投資の対象としています。なぜ、こうした多用な市場で運用するのかとの質問に対して、同氏は internal portfolio diversification(ポートフォリオ内分散化)の重要性を説明します。

HMF は、ロングポジションとショートポジションの両方を立て、市場のトレンドをつかむ、いわゆるトレンドフォロー型手法を用います。

ETFの特徴の一つとして、誰しもがポートフォリオに加えるべき資産クラスであること、従来特定の大口資産家しか購入が認められていなかったETFが、現在は誰でも購入でき、投資家であれば必ずポートフォリオに加えるべきであるマネージド・フューチャーズをより身近なものにしたことをあげています。



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2012年4月1日日曜日

ヘッジファンドの民主化

米国金融規制当局、SEC(証券取引委員会)に登録をするヘッジファンドが増えてきています。

そもそもヘッジファンドの主な特徴の一つが、不登録で規制を受けていないため、あらゆる高度の運用技術が使えるという点なのにも関わらず、なぜこうした傾向があるのでしょうか。

主な理由のひとつは、40 Act という法律です。同法に拠れば、不登録のヘッジファンドは、募集できる投資家の数が100名(500名という特例もある)に制限されます。したがって、100名以上の投資家を募集したいヘッジファンドは、登録をしなければならいというわけです。

では、こうしたヘッジファンドは、なぜ100名以上もの投資家を募集する必要があるのでしょうか。それは、個々の投資家の投資金額が減少傾向にあるためです。つまり、ヘッジファンドを購入する投資家がより小口になってきているのです。こうした現象を、Democratization of Hedge Fund、つまり『ヘッジファンドの民主化』といいます。

80年代、90年代までは、ヘッジファンドといえば巨額の資産をもつ機関・個人投資家たちが、プライベートに資金を募りプロのマネーマネージャーが運用する、というのが主流でした。

しかし、特に2008年のリーマンショック頃から、ヘッジファンドの需要が高まりました。リーマンショックを受けて、投資家の間で株式や債券に対する不信が増大し、株式市場や債券市場との相関性がない、いわゆるオールタナティブ・インベストメント(代替投資)への需要が高まり、その代表的な金融商品ヘッジファンドの民主化が起こったのです。

しかし、そのヘッジファンドを凌ぎ、18%以上のプラスリターンを出したのがマネージド・フューチャーズです。



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